謎の老夫婦―不摂生がもとで死にかけた話(14)―

どうも!八郎です!!

               

HCU(高度治療室)に収容された八郎。
のどの渇きに苦しんでいる間に。
別の所では別のストーリーが展開されていいました。
(この話は、嫁と両親の話を元に構成しています)
それでは、続きをどうぞ!    

あのヤロォ。。。

彼女「何でいきなり入院なのよブツブツ。。。」

    

そう毒づきながら、汚い男性のひとり部屋から、
「きれいそうに見える」下着を物色します。
タオルは期待できなかったので、
自分の所から調達して正解。
とても、病院に持って行ける代物ではありません。

    

彼女「うーん。。。これは下着類も購入したほうがいいかな。。。」

    

突然、救急車の中から
「入院するからよろしくっ」
という彼の電話があったかと思えば。
その後病院から「入院するので、今から言うものをもってきて下さい」
と言われ、いきなり部屋を物色しなくてはならないことに。

             

しかし、酷い部屋の惨状です。
テレビで出てくるゴミ屋敷そのもの。
布団の周囲は大量の空のペットボトル、
脱ぎ捨てられた衣類、
そして良くわからない属性のゴミの数々。。。
もうこの際、
主がいない間に全て捨ててしまいたい衝動に駆られます。
しかし、今は入院準備が先です。

    

彼女「これは。。。全部買ったほうが早いな」

   

あまりの部屋の惨状に早々にさじを投げます。

    

彼女「しかし。。。こんなに汚い部屋は初めてだ。。。」

    

ちょこちょこ部屋には出入りしますが、
こんなに部屋が汚くなったのは初めてでした。
このところ、体調が悪いとは聞いていたものの。
入院するくらいだから、
この1週間は部屋を掃除する気力も無いくらいに、
本当に体の具合が悪かったのかもしれない。。。

     

彼女「あーあ、サプライズでクリスマスにホテル予約したのになー。。。パーだろうなぁ」

彼女「あのヤロォ。。。退院したら倍返しさせてやるぅ」

   

とりあえず得るものが無いとわかったので、
入院の準備を購入に切り替え、彼の部屋を後にします。    

待合室へ

とりあえず近くのホームセンターと衣料品店で。
入院に必要なものを揃え、
指定されたZ病院の救急入り口へ。
彼の名前を告げると、
とある待合室へ通されます。

         

待合室には、十名近くの人が待っています。
みな、彼の様に突然救急で運ばれてきた
患者の近親者でしょうか。

         

座ってじっと待っている人。
不安そうに身体をゆすっているひと。
立ってうろうろしている人。
外と中に行ったり来たりしている人。

             

様々なんですが。

             

彼女のように「入院準備物」を用意して入室している人はいません。

   

彼女『なんで私だけがこんな大荷物を持ってここで待たないといけないの?罰ゲーム?』

   

恥ずかしさと居心地の悪さを同時に感じ。
何も感じないように感覚を「石」のように固く閉ざして。
下を向いて、事態が変わるのを待つことにします。   

未知との遭遇

初老の女性「あのぉ。。。」

    

ビクッ
突然、予想もしない所からいきなり話しかけられ、
身体が反応してしまいます。

    

彼女「はいっ」

    

とりあえず精一杯の返事をして振り返ると、
隣にいた初老の女性がこちらをのぞきこんでいます。
その隣には、同じく初老の「スラっとした」男性が。
このふたりは夫婦でしょうか?
しかし、この夫婦に見覚えはありません。

   

初老の女性「あなた、ひょっとして。。。彼女さん?」

    

は?え?
何でこの人は私の名前を知っているの?
てか、私はこの人たちの名前を知らない。。。
いきなりの事でわからな過ぎて動揺しかありません。
どこで面識があったのか。。。
必死に記憶をたどろうとしますが、出てきません。

    

彼女「あの、失礼ですけど、どちら様ですか?」   

奇妙な初対面

初老の女性「あ、そうですよね、いきなりごめんなさいね」

    

そう言うと、初老の女性は申し訳なさそうに
ちょっと下をそらした後、
初老の男性の方を向きます。
すると。。。
初老の男性もこちらを向くではありませんか。

   

彼女『え?誰?え?この人たち、私の絶対知らない人たちだ。。。』

   

軽く彼女がパニックになりかけた時。
初老の女性から正体が明かされます。

    

八郎母「私たち、八郎の親です」

嫁「」

    

時が永遠に止まったかと思うひとときが流れます。

はああああぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁ!?


聞いてないよー!
服装めっちゃテキトーだよー
化粧もっとテキトーだよー
っていうか心の準備ゼロなんですけど。

         

そんな気持ちがひっくり返って、
眩暈がしている時に更に追い討ち。

    

八郎父「父です、いつも息子がお世話になっています」

   

えええぇえぇえぇぇぇぇぇぇえぇえええぇぇぇぇえぇ!?
おかしい、めっちゃお父さんスリムなんですけど?
アイツと全然違ってダンディーなんですけど?
冗談で

   

八郎「俺、橋の下で拾われたんだっ(キレギミ)」

って、自虐的に言ってたけど。
これ、実話かもしれないくらい説得力がある。
アイツの両親は誰でしょう?
って問題が出ても、
この老夫婦を絶対に選ばない自信があるっ!
それくらい、似てないっ!似ても似つかないっ!

               

あまりに急激な場面展開に、
まったくついていけていない彼女に、
追い討ちをかけるひと言が。

    

八郎母「あんな息子に、こんなに素敵な彼女さんがいるなんて。。。お父さん、信じられませんねぇ」

八郎父「全くだ」

    

あれ?え?あ?これって褒められてる?え?どうしよ、どうしよー。
どうやって、かえしたらいいのお?ええい、もうままよっ!

    

彼女「あ、いや、それほどでも。。。

八郎母「」

八郎父「」

シーーーーーーン

彼女『あれ、これ、なんか使い方間違ってるっぽいな?てか、謙遜したつもりが全然謙遜していないっ!』

彼女『間違ってるーどうしよーエーン』
(次回へ続く)

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